■ 主な業務についての内容と考え方
 マンション改修に関する「設計事務所の主な業務」を簡単ではありますが、次にご説明いたします。工事を行なわず、特定の業者との関係を持たない「設計専業事務所」としての業務内容です。
 建物調査診断、長期修繕計画、大規模修繕設計及び監理がマンション維持保全関係の主要3大業務といえます。通常は設計業務の一環として、工事業者の選定・発注についての補助も行います。その他維持保全関係全般についてソフト面も含めサポートいたしております。
 各業務名称の月数は概略業務期間の目安としてお考え下さい。

   (建物調査診断 : 2〜3ヶ月間)
 一般的には大規模修繕などに先立って、各種の建物調査を行います。これを行うことにより、建物の劣化程度、維持保全上の問題点・改良点、今後の管理運営上必要事項等がより明確となります。
 同時に次のステップとなる、「長期修繕計画」や「大規模修繕設計」の重要な基礎資料となります。
 主な業務内容としては以下の項目がありますが、建物の状況や目的によって増減したり、内容を限定したり致します。

 ○ 建物目視・打診調査
 ○ 書類関係調査 (竣工図書、修繕工事経歴、決算業務報告書等)
 ○ 区分所有者・居住者アンケート調査
 ○ 建築関係詳細調査及びアンケートに基づく現地調査
 ○ 設備関係詳細調査(配管劣化具合や専門技術者による試験調査)
 ○ 物理的試験調査(外壁仕上材の付着力、躯体コンクリート中性化試験等)
   (長期修繕計画 : 3〜4ヶ月間)
 先の区分所有法の改正に於いて明確に「管理組合の業務」として規定されており、住宅金融公庫の「優良中古マンションの割増融資」に於いても20年間以上の計画が義務づけられております。
 通常、今後20年程度の期間に考えられる修繕項目とそれに必要な工事費等の概算を算出し、合理的な修繕周期を設定致します。さらに現在の修繕積立金と比較し、適切な積立金の額を算出致します。
 従って、「どの時期に、どの様な内容の工事を行い、そのために必要な経費はどの程度であるか」が明確になるものです。但し、これは個々の建物の持つ劣化特性、状況により異なりますので、前述の「建物調査・診断」に基づく検討が必要となります。
 これを作成することにより、「建物維持保全」に必要な経費が明確となり、合理的で計画的な修繕工事を行うことが出来ます。又、修繕積立金との相関関係が明瞭となり、適切な積み立て計画を立案する事が可能となります。
 大規模修繕工事の実施にあたっては、技術的・経費的な裏付けとなり各区分所有者にご理解を頂くための根拠となります。

   (大規模修繕設計 : 3〜4ヶ月間)
 前述「調査・診断」、「長期修繕計画」に基づき、大規模修繕の実施が決定された場合には、次に工事に必要な設計図書を作成致します。
 単に美装性を回復したり不良部分を修繕するだけではなく、その劣化特性を改善し、初期不良部の原因を取り除き改良する事を目的とし、長期的に経済性に配慮したものとしています。
 同時にその時々に合った改善項目や居住者のニーズに合った改良点があれば取り入れ、建物が時代遅れとならないよう提案して行く方針で設計しております。このことが、建物の資産価値の保全にも繋がります。
 具体的には、改修材料・工法・内容を細かく規定した「仕様書」と必要な「図面」を作成し、通常はさらに「設計見積書」を作成致します。工事を発注する際の工事費の基準となるもので、これを基に工事費と予算との調整を行います。

   (工事業者選定・発注 : 2ヶ月前後)
 区分所有建物であるマンションに於ける、最大難問事の一つがこの「工事業者選定」です。従って管理組合理事会としては、慎重に適切かつ十分な準備をする必要があります。
 今日多くのマンションでは、工事の特命発注は区分所有者の納得が得られません。従って見積合わせ等の複数業者による競争によって決定されますが、金額的な安さだけを求めると工事内容に影響し、結果的には高いものとなります。そこで適切な価格で優良な業者を選定することが肝要となります。
 正しく見積合わせを行うには、設計時に作成した設計見積書の工事項目の内容と数量を残し、各工事の単価や金額を消して工事業者への見積依頼時に配布します。各工事業者は自社の判断で各単価を記入し見積書を作成致します。このようにすることによって、同じ条件で各工事業者の見積金額が比較出来るわけです。さらに会社の規模・経験・技術力・・工事に対する姿勢や経営状態等を勘案し決定いたします。
 この件に関しては、誰にでも納得できる公明正大な方法を採用し、その内容を区分所有者に対し公開し、常に広報して行くことが最も大切であると考えております。多少手間暇のかかることですが、その方が早くスムーズに行え、後々管理組合内部でのトラブルも少ない結果となります。
 この様な方針で、具体的作業・資料作成・住民説明等に於いて管理組合を適切にサポートさせて頂きたいと考えております。これらは他とは独立した設計専業事務所だから出来る業務です。

   (工事監理 : 工事期間に同じ)
 工事設計図書に基づいた工事が実際に現場で適切に行われていなければ、意味のない結果となります。又、現場では調査・設計時には予測の出来ない状況が発見されたり、より適切な工法などに変更する必要が生じます。
 これらに管理組合側の立場で対処し、工事業者を適切に指導することが工事監理者としての重要な仕事となります。又、工事には必ず生ずる仕様・数量変更に対する工事費の精算等を行なう必要があります。
 一般的には、重点監理として週に1〜2回程度現場に出向します。他に行程に合わせて各種検査や書類審査、工程管理、予算管理、管理組合報告などの業務を行います。